「西」と「東」

 大阪は、日本の「ナポリ」と言った人がいた。 大阪は、元々商人の街。お笑い・自然体・ざっくばらんが好きで権力が大嫌い。東京は、日本の「首都」であり、政治権力の集中する縦社会のドライな人間関係が基調だろうか。「建前・体裁・他人事」で、不必要な関わりはあまり持たない文化が根付く。(そうでない人もいるので決めつけはいけないが・・・。)

 大阪は「お笑い」や「人なつっこさ」が人間関係の基礎にある。買い物でおつりの15円を「15万円なり」と言ったり、「困った、困った、こまどり姉妹」「しまった、しまった、島倉千代子(島田珠代)」「まいった、まいった、マイケル・ジョーダン」と、独り言を言いながら歩いている人も珍しくない。仕事の「A・B・C」は何かと聞けば、まじめな顔で「(A)当たり前のことを、(B)ボッーとせんと、(C)ちゃんとすること」と帰ってくる。品物の値段を「まけといて」と平気で言うのが大阪だが、東京ではそれはしない。(できない)

 エスカレーターの乗り方も正反対だ。大阪は右側に止まり、東京は左側に止まる。車線変更と同じ東京は理屈が立つ。大阪は、あまり理屈や理論は問わない。基本的にエスカレーターは歩いて渡るもので、疲れている人が右側に止まることになる。プラットホームで整然と並んで待っているのが東京なら、雑然と待ち、それでいて横から乗ろうとすると「あんた、割り込んだらあかんで!」と、怒られるのが大阪だ。

 大阪は、「和み」であり、東京は「癒し」である。「癒し」は一人称で「和み」は三人称。大阪の教育は子ども中心であり、人権・共生が基調だ。東京の教育はどうか。都心で見る限り、競争と選別がベースか。大阪には地域教育が根付いているが、東京では下町を除いて個人主義が多勢である。普段着の教育とよそ着の教育。やはり大阪の教育には愛着がある。