みんな違っていい
日本の教育は、画一的で効率主義的だとと言われる。1点から1点を速く走る「最短距離の道」が「正解」とする価値観である。子どもが一番言われる言葉が「早くしなさい」だ。一方、フランスの教育は、個性重視で2点間の「最長距離」を求めるという。「最短距離」は、直線で1つの選択枝しかないが、「最長距離」は曲線で無限である。人生は人それぞれ。「その人ならではの多様な生き方」があるべきというのがフランス式価値観である。
数年前、ブラジルから渡日したカルロスさんは、驚いたことがあると言った。それは、「街中の日本人が、みんな同じに見えた」というのだ。「リオデジャネイロでは、様々な人々が暮らしていて、髪や肌の色は違ってあたり前だし、服装も色とりどりで違うから落ち着くのです。日本では、みんな一緒に見えるので気持ちが落ち着きません」と。
「みんな違って当たり前」が、カルロスさんの「常識」だ。しかし、日本では「みんな一緒が当たり前」が常識だ。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」のである。「毛色が違う」という言葉もあるぐらいで、「異色(質)な者(物)は排除する」という排他的思想がある。とにかく「みんなと同じであること」が安心の基盤だ。
グローバル社会の進展に伴い格差と分断が拡大する状況にあって、国籍や民族の異なる人々が地域社会の一員として互いに尊重され共に生きていくことができる多文化共生社会の実現が求められている。「みんな違って、みんないい」という考えが当たり前になれば、子どもの笑顔がもっと広がるのではないかと思う。
