人生の3K(感動・感激・感謝)

 芭蕉の句に『よく見れば ナズナ花咲く 垣根かな』がある。ナズナは別名ぺんぺん草。道端でよく見かける草だ。芭蕉は垣根の隅っこでひっそり咲いているナズナに心を寄せた。誰も見ていなくても健気に一生懸命咲いているその姿に感動した。

 豊かな感受性とは、心の中の受信装置だ。その感度が高ければ日常の出来事から素敵な発見がある。詩人の八木重吉※は、花が美しいのは、必ずしも形や見た目にあるのではなく、それはひとすじの気持ちで咲いているからだと詠んでいる。

 人は、美しいもの以外に悪を憎む正義や差別を許さない公平やウソ偽りの無い真実に触れた時に感激し、健康で豊かで安全・安心な「当たり前」の生活に感謝して暮らす。この感動・感激・感謝という人生の「3K」を大切にしたい。

※八木重吉(やぎ じゅうきち、1898年~1927年)詩人、英語教員。