同和問題について
日本国憲法(第14条)に「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とある。この門地というのが同和問題を指している。人を生まれや出身地で決めつけ差別してはいけないと明記されている。
同和問題は、同和地区(被差別部落)出身者や関係者、居住者が結婚・就職等の日常生活の中で差別を受ける日本固有の人権侵害問題である。日本社会の歴史的過程で形成された身分制度によってつくられた人権問題である。同和地区の人々は1871年(M4年)の「解放令」によって身分制度が廃止された後も差別を受け続けてきた。今夏、NHK総合テレビで同和問題を取り上げたドキュメンタリー番組があった。現代社会においても解決されていない差別の実態と課題が明らかにされていた。
同和問題は部落問題とも言われるが、一般的に人々が住んでいる集落を部落という。同和問題でいう部落とは、差別を受けてきた集落と言う意味で「被差別部落」を指す。同和問題の「同和」とは、1926年に昭和天皇が即位した時、「人心これ同じく、民衆これ和し」(人々は心を同じようにして、和やかに平和に暮らしていきましょう)という言葉からきているとされる。※「部落問題辞典」部落解放研究所(編集)1986/9/1
被差別部落問題と同和問題は同じ問題である。現在は行政用語として「同和」という言葉が主に使われることが多く、同和行政や同和教育と呼ばれている。1969年に制定された「同和対策事業特別措置法」~「地域改善対策事業法」によって約30年間、同和対策事業が継続され、同和地区の生活環境改善や産業振興や職業・教育の充実など、一定の目的を達成したとして2002年度末に終了した。その後は、同和問題は人権行政・人権教育の一環として取り組まれている。しかし、近年はインタネット等で悪質な差別行為が深刻な問題となっており、同和問題に関する教育啓発活動が喫緊の課題となっている。



