女性用トイレ

 最高裁は、経済産業省に勤めるトランスジェンダーのAさん(50代)が、職場の女性用トイレの使用を制限されたのは社会生活を送る上で重大な不利益をもたらされたものであり「違憲」であるとして、国を訴えていた裁判で、Aさんの主張を認めた。

 国は、従来、「性自認に従ったトイレの自由な使用を認めるべきとの考えは、社会的に広く人々の理解を得るものではない」としてきたが、最高裁は、女性用トイレの使用を制限することは「個人の尊厳を深く傷つけるもの」で、女性として生活をしているAさんの主張を全面的に認めたのである。最高裁が性的マイノリティーの人々の職場環境についてこのような判断を示したのは初めてのことであり、人権が尊重される社会の実現に向けた画期的な意味を持つ判決と言える。