子どもの育ち

 子どもの貧困問題が深刻だ。厚労省(2018年度)によれば、日本の子どもの貧困率は13.5%。ひとり親家庭の貧困率は48.1%。養護施設への入所率は9.2%。入所理由の一位は親の虐待(45.2%)である。背景には親の貧困や疾病や孤独等がある。生活苦や社会との孤立から虐待(2019年度:全国で約20万件)や育児放棄に至るケースもある。

 子どもの貧困問題は「負の連鎖」となって社会の発展を蝕む。貧困はお金や物といったハード面の問題だけでなく、子どもの自己肯定感を低め、将来への夢や希望を持てなくすることが問題である。子どもの健全な成長は日本社会の未来に関わる重大な課題である。

 植物のタネが発芽するには、水、空気、適度な温度が必要なように、子どもの成長は、ぐっすり寝て、しっかり食べて、安心して安全に過ごせる家庭や友だちや地域社会の存在が不可欠である。批准から30年をむかえる《子どもの権利条約》には、「すべての子どもの育ちを可能な最大限の範囲において確保しなければならない」とある。節目の年にあたるこの機会にあらためて考えたい。

※貧困率:2人世帯収入が約200万円以下、3人世帯は約250万円以下の家庭。