心の窓①

「この頃、年とともに、髪の毛と口数がめっきり少なくなりまして・・・。」、初対面の挨拶は大体、こんな風に始まる。相手の方は、「髪はともかく、どこが口数少ないねん」と言いたげな顔でこちらを見る。その瞬間がチャンス。「きいてない、人の話と育毛剤」。

 <ユーモアは対人関係の潤滑油>である。新任の頃、いくら注意しても子どもたちはおしゃべりをやめない。指導の壁に突き当たった。ところが給食の時間、スプーンを落とした時の一言で子どもたちがどっと沸いた。「スプーン落として、ぷすーん!」次は掃除の時間。自分の履物を手に取って、「このサンダル、お尻にはさんだる」とやった。これも大ウケ。子どもたちの心を、ぐっとたぐり寄せた瞬間であった。その後、教室の空気がみるみる和んだ。

 キャンパスでも学生に呆れられることが多いがめげない。学生も慣れたもので「先生、廊下で躓くのは〈老化現象〉ですよ」と言う。すかさず、それって「オイルショック」(老いるショック)と返す。「先生、レポート用紙はA4でいいですか」と聞かれると、「えーよーん」と答える。学習意欲をどう高めるか。授業のポイントは次の3つだ。①楽しい②わかりやすい③役に立つ。おもしろさは、授業づくりの根幹である。