心の窓②

 ある日の授業始まり。教室に入ると、子どもたちが下敷きでパタパタとあおり、ガサガサして教科書を広げようとしない。「もうチャイム鳴ったで」、そう注意すると、男の子の一人が「先生はチャイムの音、なんて聞こえるん?」と逆質問した。「それは、勉強を始めますという意味ですよ」と答えたところ、男の子は得意顔で言った。「先生、それはちゃうで。チャイムは楽しかった休み時間の終わりっていう意味ですよ」 見事に一本とられた。チャイムの捉え方が子どもと先生と違うのだ。「じゃ、1分間だけ汗を乾かす時間をあげるから、勉強の準備をしましょう」。楽曲にイントロがあるように授業の初めの「間」が大切なことを子どもに教えられた。