志賀島

 「大君の遠の朝廷とあり通ふ 島門を見れば神代し思ほゆ」(柿本人麻呂、万葉集)

 志賀島は中国大陸や朝鮮半島と密接な関係にあった。島内で発見された国宝「金印」がその証だ。金印は中国の後漢書に登場し、西暦57年に光武帝が奴国の使者に授けたもので、「漢委奴国王印(かんのわのなのこくおういん)」と刻まれている。現在、金印の発見場所は「金印公園」として整備され、そのレプリカが展示されている。

 小高い丘にある公園から玄界灘に浮かぶ島々が秋の空に映えて美しい。朝鮮半島はすぐそこにある。古代から交易が盛んだったことが伺える。元寇にまつわる蒙古塚や火焔塚などもあり、数多の歴史の痕跡が偲ばれ、昔の人々が生活を共有する文化圏であったのだろう。

 島を一周する沿道に国民休暇村があり、夏は海水浴やマリンレジャーを楽しむ人々で賑わう。海が一望できるレストランで昼食をいただいた。新鮮な魚介類と具沢山の天ぷら定食にお腹も心も満たされた。