教員の待遇

 長時間労働による過労死や精神疾患による休職が増えるなど、教員の働き方が深刻な問題となっている。政府は2019年に給特法(※)の一部を改正し、教員の残業時間の上限を「原則月45時間、年360時間」としたが、教員の過重労働問題は解消されていない。

 ある調査によれば、公立小中学校教員の1カ月の残業時間は平均で100時間以上で「仕事を辞めたいと思ったことがある」と回答した教員は、小学校68.2%、中学校63.3%もいる。(学校リスク研究所「学校の業務に関する調査」報告 2021年)

 学校の先生が、疲れ果てて元気がなければ、子どもにとって「不幸」である。社会の担い手である子どもを育む学校教育は今、危機的状況にあるといっても過言ではない。

 仕事には3つの要素がある。一つは「やりがい」。二つは「社会的役割」。三つは「稼ぎ」だ。教員は、子どもの日々の成長に喜びと達成感を持つ。また、教育公務員として職責に使命をもって働いている。そして、肝腎なのは、三つめの「稼ぎ」である。お経のように「働き方改革云々」と唱えて小手先ばかりの施策では根本的な解決に至らない。はっきり言えば、教員給与と教員数を倍増する予算的措置が一番の解決方策ではないかと強く思う。

(※)「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」1971年。時間外勤務手当の代わりに給与月額の4%の「教職調整額」支給を定めている。