末川 博 先生

 片道3時間かけて立命館大学に学んだのは、末川博先生にあこがれたからである。末川先生は、長く立命館大学学長、総長の職にあった。残念ながら私が入学した年に先生は退官され、直接講義を受けることはできなかったが、民法学者として戦後の平和運動等にご貢献、ご活躍された姿は多くの学生の希望であった。末川先生の残された言葉は、今も継承されている。

1.未来を信じ 未来に生きる そこに青年の生命がある。

・「わだつみ像」の台座に刻まれたこの言葉は、『立命館憲章』にも記されている。

2.理想は高く 姿勢を低く

・立命館中学校・高等学校、深草キャンパス正面の銘板に刻まれている言葉である。

3.法の理念は正義であり 法の目的は平和である だが 法の実践は 社会悪と たたかう 闘争である

・法学部創立80周年記念で新衣笠キャンパス「存心館」1階ピロティに掲げられた言葉である。

 特にこの言葉は末川先生の思想を端的に表している。学問は、単なる知識ではなく、人々の暮らしに益するものであり、富も権力も持たない多くの民衆が、理不尽なものと抗うために必要とする武器である。先生の思想を人権教育に当てはめれば、

「人権教育の理念は、公平・平等の追求であり、その目的は、平和で豊かな社会実現であり、その教育実践は、不合理な偏見や理不尽な差別と闘う教育である」と。