枚方市人権尊重のまちづくり条例

 今春、「枚方市人権尊重のまちづくり条例」が20年ぶりに改定された。その審議会に関わって提言を取りまとめた。条例の見直しの背景には、インターネット上の誹謗中傷やヘイトスピーチ、性的マイノリティへの差別など人権問題が多様化・複雑化してきていることなどがある。さらに、コロナ禍の約3年間で私たちは人権侵害の加害者や被害者にもなり得ることを経験したことも要因である。
 改定のポイントは「幸せを追求する営みこそ人権」であり、お互いを思いやる心豊かな住み良いまちを築いていくため、市の責務に加え、新たに事業者の責務や市民の役割を位置づけたことだ。また、健康で豊かに安全安心に暮らすことを脅かす「人権侵害行為の禁止」を盛り込み、「差別する自由は認めない」という姿勢を明確に示した。
 先の市民人権意識調査では、人権侵害を受けても我慢してしまう人が半数以上、見聞きしても何もしない・同調してしまう人は4割という結果が明らかになった。条例の見直しをきっかけに人権に関する知識や理解を態度や行動につなげていくことが重要である。
 「不安や恐れがある」×「あいまいな情報や利害が絡む」とき、差別は起きがちである。
 ⑴人との出会いやふれあいを大切にする
 ⑵自分ごとに引き寄せて共感する
 ⑶正しく学ぶ
ことで人権を身近で必要なことにしていくことが大切だ。
 人はなかなか一人では行動を起こせないが、正しく学んだ人がつながることで人権侵害を許さない環境が実現されていく。一昔前は電車内で喫煙できたが、今ではみんながそれを許さない感覚を持っていることと同じだと思う。まずは人権について興味・関心を持ち、気付くことで意識をアップデートしたい。また、人権侵害を受けたと感じたら、抱え込まず家族や友人、職場や行政に相談してほしい。