福田村事件

 100年前の1923年9月6日、関東大震災後の社会不安の中、「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れている」などの流言飛語により、香川県の被差別部落出身の薬売りの行商人15名が、千葉県東葛飾郡福田村の地元の自警団等に暴行され、9名(妊婦や2歳、4歳、6歳の幼児を含む)が殺された事件である。

 中央防災会議専門調査会報告書によれば、軍隊や警察、新聞がデマをあおり、虐殺されたのは朝鮮人や中国人を含めて、震災による死者数約10万人の1~数%(1000~数千人)に上るとあり、言葉がうまくしゃべれなかったり、方言が強かったりした日本人も襲われたと言う。

 この間、コロナ禍の中、感染症に係る様々な人権侵害が起きた。そして今、福島原発事故による「処理水」の海洋放出を巡って「風評被害」が問題となっている。福田村事件は決して過去のことではなく、史実を明らかにすることで、現在から未来への教訓としなければならない。

 ドキュメンタリー作家の森達也氏が監督として映画『福田村事件』を制作し、関東大震災から100年目となる今年、9月1日から全国公開されている。この週末、映画館に行こうと思う。