笑いの効用

 子どもは、なぜよく笑うのか? その要因には3つある。①未知との出会いに固定観念がないこと⇒柔軟性、②心身の成長期であること⇒生命力 、③大人に将来を期待されること⇒希望

  《日本笑い学会》元会長の井上宏さん(関西大学名誉教授)は、著書『笑い学のすすめ』の中で次のように述べている。

 「人間が笑うのは、2つの能力によるもので、一つは元気に生きる(病気や悩みなどを自然治癒させる)ために必要だから太古の時代から笑ってきたこと。二つは人間は一人で生きているのではなく共同体の中で生きているので、人間関係の緊張や対立を修復したり、避ける努力もしなければならない。そのための親和作用として笑いが役立ってきた。」と。

 最近の研究では、笑いは医学的効用があると証明された。人が笑うとNK細胞(ナチュラル キラー細胞⇒癌を攻撃する細胞)が活性化し、免疫力を高めて病気にかかりにくくする。笑うとストレスが発散され、悩みや心配事が「浄化」される。これを「無化作用・解放作用・安定作用」という。

 フランスのカルマンさん(1997年死去:122歳)は、生前、健康長寿の秘訣を「人と交わり、退屈しないこと。そして、とにかくよく笑うこと」と語っている。笑いは、元気の素であり、良好な人間関係づくりや平和な社会に貢献する《心身のビタミン》である。