被差別部落情報サイトに削除命令

 インターネット上で被差別部落の地名や個人宅などを晒す投稿が後を絶たず、法務省によるプロバイダー(接続業者)への削除要請も約4割近くが対応せず、これらへの実効性ある対策が急務となっている。そんな折、大阪府内在住の70代の男性が、川崎市にある出版社がウェブサイトに自宅の写真や「部落の寺」などと書かれた記事を投稿したのは「差別されない権利」の侵害にあたるとして大阪地方裁判所に記事の削除を求める仮処分を申し立てた。

 5月1日、大阪地方裁判所は「被差別部落への差別を助長するものであり」「差別を受けず平穏な生活を送る人格的利益を侵害している」などとして、サイトの運営側に削除を命じる決定を下した。訴えた男性は、「裁判所には踏み込んだ判断をしていただいた。私たちには苦しみがあり、サイトに載せているだけでも差別につながることを受け止めてほしい」と声明を出した。

 このサイトは被差別部落336カ所の地名を列挙し、個人宅などの写真と解説文を載せて「都市スラムのような状態」などと地域の治安に問題があるかのように表現していた。

 しかし、仮処分命令を受けた出版社は「仮処分の命令は履行したが、記事の削除などを命じられたもので、当該地域を再び訪れることは禁止されていない」などと反省を見せていない。このような悪質な差別行為は「表現の自由」にあたらない人権侵害であって、法によって厳しく罰せられなければならないと考える。