部落差別の現状

 2023年7月に「不動産業者から購入した土地が被差別部落にある」として契約解除を主張していた三重県内の公立小学校に努める夫妻に対して、三重県教育委員会は、県の差別解消条例に基づき懲戒処分を下した。

 現在は、「説示」によって「土地の売り主や関係者に迷惑をかけて申し訳ない。今後は部落差別に関する正しい知識を深める」ということだが、30代の教員(夫妻)が同和問題への正しい認識も持たずに教育をしていることに驚く。

 2000年代になって同和地区への対策事業法が失効して以降、「もう、部落問題は過去のことで解消した問題」という誤った考えのもと、学校教育においても部落問題学習が積極的に取り組まれていない現状がある。

 昨年11月には、同和地区の写真や動画をインターネット上に掲載して差別を拡散してきた「部落探訪」に対して府内在住の男性が大阪地裁に申し立てた。地裁は今年の5月に「地域住民に対する差別を助長するもので、平穏な生活を送る人格的な利益を侵害するもの」としてネット上の掲載の削除を命じた。しかし、こうした差別を助長するネット記載は未だ多くあり、悪質な部落差別によって人命が奪われる事態にあることを真剣に受け止めなければならない。