雑草という 草はない

 NHK朝ドラ「らんまん」の主人公モデルである植物学者、牧野富太郎(1862~1957年)展が、大阪市の長居植物園で開催されている。世界的な植物分類学者の牧野氏は、植物への愛情一筋に生涯を貫いた。日本各地を巡り約40万枚の標本を集め、新種発見を含めて1500種類以上の植物に命名した。そして、あの有名な「世の中に雑草という草はない」という言葉を残している。

 春にタンポポ、秋にコスモスの花が咲くように、一人ひとりの子どもも「個性」というかけがえのない自分の花を咲かせる。子どもの命は無限の可能性を秘めている。個々人の能力に「違い」はあっても、「間違い」はない。その子どもならではの「色や形や匂い」がある。

 教育者の東井義雄氏は、「子どもは星。みんなそれぞれの光をまばたきしている。やんちゃな子どもはやんちゃな光、おとなしい子どもはおとなしい光、気の早い子どもは気の早い光、ゆっくり屋さんはゆっくりの光など、天(そら)いっぱいに子どもの星を輝かせている」と語っている。 ダメな子どもは一人もいない。

 ※東井義雄(1912~1991年)。小学校教員として「村を育てる学力」の教育実践。ペスタロッチ賞、平和文化賞、小砂丘忠義賞、文部省教育功労賞受賞。