79年目の夏

 今年も8月6日がやってきた。ヒロシマに人類史上初の原子爆弾が投下されて79年目の夏。ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとパレスチナによる中東紛争など戦火の絶えない世界情勢の中で平和を願う人々の声は一段と大きい。

 戦争は「最大の人権侵害」である。その3大「悪」は殺戮・貧困・暴力の拡散にある。その対極に平和と人権がある。人権とは人々の幸せの営みであり、その3大「善」は健康・豊かさ・安心安全の追求にある。

 人類は、他者と関わりながら互いにリスペクトして生きてきた。それ故、自他を肯定し自立と共生を基盤とした平和な社会を希求してきた。しかし、そうした人類も偏見や差別が充満する状況にあっては他者を排斥し攻撃する存在になる。憎しみと暴力の「負の連鎖」を断ち切るものは、豊かな出会いとふれあいや正しい学びであり、シンプルに言えば「自分がされて嫌なこと」を「他者にしない」という想像力の育みである。今、改めて人権教育の重要性を噛み締めたい。