8月と戦争

 「八月や六日 九日 十五日」。被爆地ヒロシマ・ナガサキへの鎮魂と戦争を絶対にしてはならない決意が込められた句である。

 78年前、中国の最前線にいた父は二十歳で生還した。生涯、スイカと戦争ごっこが大嫌いだった。割れたスイカが戦地で倒れた友を思い出させたか。父は82歳で他界したが、10歳年下の母は90歳で元気だ。母が中学生の頃は「授業がなくて、毎日、校庭で芋づくりをさせられた」という。

 被爆者の平均年齢が85歳を超えた。戦争経験者の高齢化が進む今、戦時中の体験や核兵器の廃絶を願う声を子や孫にどう引き継ぎ伝えていくべきか。ウクライナ戦争から核使用による第3次世界戦争勃発が懸念される今こそ、真剣に考えなければならない。