恐怖の味噌汁

 日が暮れて山奥で道に迷った男性が、とある谷で明かりを見つけ、山奥の一軒家に一夜の宿を借りた時の話。その家に住んでいるのは年老いた一人の女性で、親切に男性を招き入れて泊めてくれた。
 夜明け頃、男性がふと目を覚ますと、家の奥の方でしきりに何かやっている音が聞こえる。耳を澄ますと、その音は、シュッシュッと歯切れの良い音である。 何だろうと、そっと戸を細目に開けて覗いて見ると、それは大きな包丁を研いでいる音だった。
 「殺される!」と思った男性は逃げだそうとしたが、あわててひっくり返って大きな音を立ててしまった。がらりと戸を開けて、女性が男性の前に現れた。 その手には大きな包丁が握られていた。実は、その女性は親切にも朝御飯を作っていて、朝食は、ふ入りのミソ汁だった。「きょう、ふのミソ汁ですけど、召し上がってくださいね」と言われたとか。(笑)