ダメな人間は一人もいない!
「不良な子孫の出生を防止するという公益を目的」とする「優生保護法」(1948年)は「憲法に違反しない」とする当時の法務府見解によって障がい者ら約2万5000人の生殖能力が奪われるという人権侵害が行われた。
6年前に不妊手術を強いられた女性が国を提訴した。この度、最高裁が「旧優生保護法」の規定を違憲と判断し、国の責任を初めて認めた。被害者の全面救済につながる画期的判決ではあるが、なぜにこのような障がい者差別が長きに渡ってまかり通ってきたのか。
その背景には、生産性と効率性のみを「善」とし、多様性を否定もしくは拒否する排他的な差別社会が存在してきたからだ。優生思想に基づくサイレントマジョリティが社会的マイノリティを排除してきたからに他ならない。国の謝罪や補償も大事だが、尊い生命が奪われてきたことを思うとき、障がい者が暮らしやすい社会の実現こそが求められる。それは、私たち一人ひとりの課題であり責任であり行動にある。