ダメな子どもは一人もいない
春にタンポポ、秋にコスモスの花が咲くように、一人ひとりの子どもは「個性」というかけがえのない自分を咲かせる。しかし、学力試験の点数のみに関心がいき、点数の低い子どもは「ダメな子ども」と考えてしまう傾向がある。
人の値打ちは点数だけで測れない。大事な大事な子どもの命は数字で表わせない。教育は人格の完成をめざす営みであり、賢さも大切だが、優しさや逞しさも人間形成の大きな要素だ。個々の能力には「違い」はあっても、「間違い」はない。その子どもならではの「色や形や匂い」がある。
教育者の東井義雄さんは、「子どもは星。みんなそれぞれの光をまばたきしている。やんちゃな子どもはやんちゃな光、おとなしい子どもはおとなしい光、気の早い子どもは気の早い光、ゆっくり屋さんはゆっくりの光など、天いっぱいに子どもの星を輝かせている」と語っている。
教員生活の中で「あなたは何を学んだか、一つ上げなさい」と聞かれたら、ためらいなく「ダメな子どもは一人もいない」と答えたい。