舞台は一人で作れない
《ひょっこりひょうたん島》の台本作家でも有名な井上ひさしさんは生前、「舞台は一人でつくれない」と語っている。
「いい舞台は、まず、いい戯曲がなければならず、次に、いい制作者がその戯曲に目をとめなければならず、さらに、その戯曲をいい演出家が読み解き、いいスタッフとすばらしい役者が個性を生かして演じ、それを喜んで受け入れ、お金を払って観劇するお客がいなければならない」と。
考えてみれば、学校も同じではないか。
学校の主人公は子どもだが、誠実で熱心な教職員と愛情に満ちた保護者や地域の方々の存在、そして、毎日おいしい給食を作ってくれる調理員さんや校門で安全を見守ってくれる受付員の方、教育委員会をはじめ多くの関係機関が、子どもの学びと育ちを支えている。学校は、そうした「チームワーク」力で成り立つ。
今、大阪の公立学校は大きな変革期にある。多くのベテラン教員が退職し、若い教員のなり手が不足している。子ども理解や教科指導力の継承・発展が大きな課題だ。教職年数の少ない先生には、「教育はチームであたる」こと、「子どもに学ぶ先生こそ先生にふさわしい」と伝えたい。
この春に出会った一人ひとりの子どもに、大いに学ぶ一年でありたい。日々の教育は、しんどいことやつらいことも多々ある。しかし、子どもや保護者に誠実で一生懸命に取り組めば信頼関係が築かれ、教員として自信も生まれる。
「ロープウェイで来た人は、登山家と同じ太陽を見ることはできない」と、フランスの哲学者アランが言っている。苦しくともその渦中にこそ、本当の喜びや楽しみがある。仕事は、3つのワーク!チームワーク・フットワーク・ネットワークである。
