つながる力

 大阪湾沿いに私鉄の南海電車が走っている。「1回乗っても南海電車、何回乗っても南海電車!」大阪の私鉄は面白い。全身乗っても阪神(半身)電車、全休で乗っても阪急(半休)電車。お金があっても近鉄(金欠)電車。近鉄さん、ごめんなさい。

 難波に行くのに南海電車に乗った。混みあっていたが座れた。次の駅で杖をついたおばぁちゃんが乗ってきた。私は、当然、席を代わることもできる。けれど心中は、「優先座席の人が譲ってあげたらいいのに」とか、「自分よりも若い人が代わればいいのに」とか、「声をかけて断られたら恥ずかしい」などと思い、席を譲ることができなかった。そんな話を学生にしたところ叱られた。

「先生、ダメですよ。高齢のおばぁちゃんに席を代わらんと。僕もそんなことがあったけど、代わってあげました」と言うのだ。「あなたは、えらいなぁ、立派です」と返すと、「実は、友だちと3人で座っていたんで声をかけあって席を譲ったんです」と。

 人はできることでもできないことがある。一人だと勇気も元気も湧いてこないときがある。しかし、気持ちの通じ合う仲間がいたら勇気も元気も湧いてくる。私たちは何かを行うとき、他の人とつながり協力すれば力が出る。一人ひとりは微力だが無力ではない。自分だけでは無理でも多くの仲間がいれば実現できる。人々が連帯し団結すれば、理不尽なことも乗り越えることが可能だ。

 人権・同和教育は「仲間づくり」を大切にしてきた。仲間ができることで、自己肯定感や安心感が得られる。また、他者との出会いやふれあいを通じて喜びや生きがいを感じ、協調性やコミュニケーションスキルを高めることができる。つながることは心身の成長に大きな役割をもたらす力の源泉である。