同和問題(部落差別)を考える
同和問題(部落差別)は、日本の歴史の中で人為的に形成された身分制度に基づき、一部の人々が特定の地区出身やその関係者であることを理由に、住む所や仕事・結婚などで差別を受けてきたわが国「固有の人権問題」です。
1871年(明治4年)の「解放令」で身分制度は廃止されましたが、差別と貧困は解消されませんでした。そこで1922年(大正11年)、被差別部落の人々が自らの手で「全国水平社」を創設し、自主的解放運動を推進しましたが、戦後、基本的人権を保障した日本国憲法が1947年(昭和22年)に施行された後も、部落差別はあとを絶ちませんでした。1965年(昭和40年)、国の諮問機関である「同和対策審議会」が答申を出し、同和問題の解決は国の責務であり国民的課題であるとしました。また、1969年(昭和44年)には「同和対策に関する特別措置法」が施行され、2002年(平成14年)3月まで33年間、地区の生活環境や教育文化の向上等を目的に同和対策事業が行われました。
しかし、生活環境面の改善などは一定の成果をあげましたが、かつての同和地区、被差別部落出身者への偏見や差別は解決していません。最近は、インターネットを悪用した差別動画の掲載等、悪質な差別事件が増大していています。こうした状況から同和問題を解消するため2016年(平成28年)12月に「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消法)」が施行されました。この法律では、「部落差別は許されるものではない」という認識のもと、部落差別解消のための基本理念や、国や地方公共団体の責務、教育・啓発の必要性等について明記されました。今後、私たち一人ひとりが同和問題(部落問題)について正しく理解し、「部落差別は許されないものである」という認識と行動を高めていくことが重要であると思います。