ヒューマニズム

 ある病院での光景。診察を待つ患者に「おはようございます。」「今日は、どうしましたか?」と、一人ひとりに笑顔で声をかける看護師さんがいる。「お子さん、大きくなりましたね」と声をかける。母親は、うれしそうに「ええ、小学4年生になりました」と言葉を交わす。

 おばあさんも顔見知りなのだろう。「○○さん、今日は何かしら?」「いえねぇ、胸のレントゲンでねぇ。」「そしたら、もう終わりじゃないの、今日は早いわね。帰りはどうするの?タクシー呼んであげましょう。」肩にそっと手を触れ電話機に向う姿が自然だ。

 患者は、大なり小なり心細くて病院に来る。健康で元気なら絶対に行かない。医師や看護師など医療に携わる人々は、処置や薬だけで疾病を治すのではない。笑顔とやさしさ、思いやりの心で患者と向き合い、患者は信頼感や安心感で元気になる。医療に限らず、どの仕事も「ヒューマニズム」が根底になければ勤まらない。