家庭の教育力
保護者の子どもへの願いは、「元気で、かしこく、やさしく、人に迷惑かけんと、将来、食いはぐれがないこと」である。教育は、子どもたちに「自己実現」と「社会貢献」の力をつけること、つまり、自分のことが自分でできて、他者の力になれる人間の育成をめざす。
なかでも家庭教育は、子どもの成長の節目節目に「手をかける・声をかける・心をかける」などの力点が変わる。乳幼児期(生後から就学前まで)は、生理的な働きのリズムづけや生活の習慣づけが大事で、人との基本的な信頼関係や安心して生きる環境づくりが第一である。
学童期(小学校)は、授業による学習の習慣づけや友人関係の基礎が形成され、自尊感情の育成などが大切である。青年期(中学・高校)は、思春期という「嵐の時代」で、心身の成長と共に社会的なきまり、行動様式の規範など将来の夢や志を育む時期である。
家庭における「教育力」は2つある。1つ目は、意識的なもので、子どもへの言葉かけや叱ったり、褒めたりして「挨拶・返事・態度」を躾けること。2つ目は、無意識的なもので、家族の会話、世間の風評、保護者の口ぐせ、喜んだり悲しんだりする態度、来客のもてなし、新聞を読んだり学習する様子等、家庭生活全般の雰囲気である。家庭でなければできない教育は毎日の衣食住をはじめとした「寝食」だ。子どもは家族の一員として家庭の「食事」「会話」「役割分担」などの関わりの中で育つ。
家庭は、子どもにとって「気持ちがいい関係」「居心地がいい」ことが前提で、「家が楽しい」「家族に信頼されている」子どもほど、学校生活も充実する。反対に家庭で「こ食」(孤食・固食・粉食・個食・小食・濃食)の子どもほど、学習困難な傾向にある。夕食後の「家族の会話」や「お手伝い」の経験も大きなポイントである。